“冬”の沖島   H31年冬
 沖島の冬は、寒さが厳しく、天候によって漁に出る日も少なくなります。
 厳しい季節のなかで、島民は
左義長祭り、獅子舞などの行事で一年の息災を祈り、また先人の知恵をかり保存食を作ったりして、暖かな春を待ちます。 
 


平成31年・冬の話題

 今年も沖島は静かな冬を迎えています。湖が荒れて漁に出られない日もありますが、例年に比べ比較的暖かな日が多いように感じます。そんな冬の沖島から、いくつかの話題をお届け致します。


 この冬、思わぬ琵琶湖からの贈り物が…♪


“ビワマスのお刺身”
 今年の沖島の冬は、年末くらいから数日ほど湖が荒れ、漁に出られない日がありましたが、比較的穏やかな日が多く、水揚げも今の時期としては例年並みとなっています。
 今年は、少し珍しいことが起きています。通常、冬の沖びき網漁では獲れない「ビワマス」が獲れているのです。昨年12月中頃から網に入るようになり、一時的なことかと思いきや、2月になってからも獲れています。
 「ビワマス」は沖島の夏の漁を代表する湖魚で、6月頃から刺し網で漁が始まり夏に最盛期を迎えます。秋には産卵保護のため一旦、禁漁となり、冬に禁漁が解けても沖びき網漁が主流となるため、あまり獲れることはありません。今年のこの珍しい状況は、秋の話題でも取り上げましたが、この夏の相次いだ台風で琵琶湖の水が大きく攪拌されたことによりプランクトンが大量に発生したと同時にビワマスの好物である「ヨコエビ」も大発生したことによるものではないか・・・と思われます。それを証明するようにこの冬獲れているビワマスの身は鮮やかなピンク色をしています。というのも、ビワマスの身はもともと白身で「ヨコエビ」などの甲殻類を食べることでピンク色になるからです。夏に獲れるものより大きさは小さいものの、脂もしっかりのっています。思わぬ“琵琶湖からの贈り物”に感謝です。
 そのほか、スジエビ、小アユも小ぶりながらも好調、ホンモロコは型の良いものが獲れています。また、2月20日から“鮒ずし”の原料ともなるニゴロブナの漁が始まります。例年3月1日から始めるのですが、昨年、塩切り鮒にするためのニゴロブナを充分に確保することができなかったことを踏まえ、今年は前倒しして始めることとなりました。この冬の琵琶湖の環境からみて、水揚げ量に期待がかかるところです。
 一方、わかさぎ漁は昨年に引続き低調です。推測ではありますが、湖にはいるものの沖引き網漁では獲れないところにいるのでは・・・とか、ブラックバスなどの外来魚も減ってきていることから、琵琶湖の環境が外来魚にとって住みにくくなってきており、外来魚であるわかさぎも同じように減ってきているのではという説もあります。
 このように、今年の冬の漁の様子からみても、毎年同じように冬が来ても漁の様子も同じということはありません。琵琶湖に起きる様々なことは琵琶湖の漁にも直結してきます。また、琵琶湖では必ず年に一回、“全層循環”という現象が起こります。これは琵琶湖の水の循環に関わる現象で、水深90mのところに酸素が届いたかどうかで“全層循環”が起こったかどうかを判断します。この現象は湖魚の繁殖や生育にも大きな影響を及ぼし、雪が多いと起こりやすいと言われています。今年はあまり雪が降っていないせいか、まだ起こっていません。このことが、この先の漁にどのように影響するかは図りしれないところではありますが、これから迎える春の漁に良い影響となることを願うばかりです。

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 1月13日(日) 左義長祭りが行われました

 今年も1月13日(日)、沖島の“左義長祭り”が行われました。当日は快晴で暖かかったこともあり、島民のほか多くの観光客の方も見に来られました。
 今年は、お天気続きで乾燥していたため、火を入れてから思いのほか早く燃え尽きてしまい、夕方16時頃には火が消えてしまいました。例年は、火を入れてから火を囲み、燻る火で焼き芋などしながら火が消えるまで談笑したりしているのですが、今年は火が消えてしまうのが早すぎて焼き芋が・・・(涙)と子供たちには少し寂しい左義長祭りだったかもしれません。
 また、今年は島を離れて生活する30代・40代の人たちがたくさん帰ってきて、祭りのお手伝いをしてくれるなど、左義長祭りを盛り上げてくれました。沖島がひとつになったような、とても良い雰囲気で、沖島の伝統行事がしっかりと受け継がれてきていることを実感できる一日でした。

 沖島通船衝突事故 ご迷惑とご心配をお掛け致しましたこと、お詫び申し上げます 

 新聞報道等でご存知の方も多いと思いますが、1月28日午後7時45分頃、沖島通船(自治会運営)が沖島漁港付近の工作物に衝突する事故が発生いたしました。大変なご迷惑とご心配をお掛け致しましたこと、漁協としてお見舞いならびにお詫びを申し上げます。
 事故原因については調査中でありますが、沖島通船は代替船を使用して通常どおり運航しております。今後とも安全運航に努めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 お知らせです

◆ “沖島 桜まつり”今年も開催する予定です♪


“桜のトンネル”(島の西側)
 沖島漁協婦人部「湖島婦貴の会」では、今年も、昨年、大変ご好評いただきました“沖島 桜まつり”を開催させていただきます。しかしながら、昨年の夏の相次ぐ台風により桜の枝が痛んでしまい、枝切り等を行いました。そのため咲き具合が心配されますが、なんとか春までに元気になって見事な満開の桜をみせてくれることを願うばかりです。

 沖島では、春になると島のあちらこちらで桜が満開となり、“桜色の島”となります。そんな桜色の沖島で郷土料理に舌鼓み・・・そんなお花見はいかがでしょうか♪
 また、今年も毎年ご好評をいただいております“お花見セット”もご用意させていただく予定です。“ビワマスのおすし”をはじめ、湖魚の佃煮など沖島の味がいっぱい詰まったセットです。その他、一品料理も多数ございます。ぜひ、満開の桜とともご賞味くださいませ♪
 開催日時など詳細は決まり次第、ホームページ等でご案内いたします。
※写真の“お花見セット”は昨年のものですのでご了承ください。
※沖島の桜の様子は“桜アルバム”でご紹介しています。


◆ 沖島の冬の風物詩 “獅子舞”

 沖島の冬の風物詩としてご紹介している“獅子舞”が、今年は2月24日(日)に行われる予定です。
“獅子舞”は、古くから伝わる沖島の年中行事のひとつで、各家庭を廻った後、漁港近くの広場で余興が行われます。(詳しい内容は、下記の『冬の風物詩』のコーナーでご紹介しています。)
 ぜひ、この機会に沖島へ足を運んでみませんか♪


◆ “塩切り鮒の予約販売”のご案内♪

 毎年、ご好評をいただいております「塩切り鮒の予約販売」を今年も3月から行う予定です。
 ご家庭で手軽に“ふなずし作り”を楽しんでいただけるよう、ふなずし作りの工程で最も手間のかかる塩切り(塩漬け)までしてありますので、後は夏の土用の頃(9月頃まで可能)に漬け込みしていただけば、年末年始頃には美味しい“ふなずし”を楽しんでいただけます。
 最近は他との競合も激しくなっていますが、沖島の“塩切り鮒”は水揚げされたばかりの新鮮な子持ちのニゴロブナを傷つけないように全て手作業で仕込むので、品質には自信を持ってお届け致しております。詳しくは
「塩切り鮒の予約販売」のページをご覧下さい。

冬の風物詩 〜〜ここからは例年の冬の沖島の様子をご紹介しています〜〜

 沖島の左義長祭り

 沖島の左義長祭りは、一人前になる行事(17才の元服)として昔から行われています。
 元服とは、かつての武士階級で、男子なら十三才から十七才までの間に行われる、今で言う成人式のような儀式で「加冠の儀」といい、それが済むと大人の仲間入りをし、一人前の武士として出陣する資格を得たそうです。
 沖島の左義長祭りは、その年に元服を迎える男子が元服を済ませた男達に様々な試練を与えられ、一人前の男として認められる、いわば…青年団に入る前の儀式のような意味合いもありました。
 今では、元服を迎える若者が毎年いないため、自治会と島の子供達が中心となり、五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて島民皆が参加するお祭、島の楽しみの一つとなっています。
“だんぶくろ”飾り

 年が明けると島全体で左義長祭りの準備が始まります。飾り付けをする竹を島民皆で集め、飾りの準備をします。男の子のいる家庭では吉書(きっしょ)さん”、女の子のいる家庭では“だんぷくろ”という飾りを作ります。この“だんぶくろ”は沖島ならではと言われており、「お裁縫が上手になりますように…」との願いを込めて一針一針、色紙を縫い合わせて作ります。
 そして、左義長祭の当日、お手製の飾りを竹に飾りつけ、広場に積み上げていきます。
    “飾り付けされた竹”


  “広場に積み上げられた竹”

“家族で飾付けをする島民”                   
  当日、公民館では、自治会と子供達が中心となり儀式を行なった後、飾り付けた竹を持って瀛津島神社へと上がります。
 瀛津島神社へ上がると、子供達は、ゆっくりと数回境内を回って神社を下り、左義長に火を入れる広場へと向かいます。
 以前は、元服する男子が瀛津島神社から下る際、行かせまいと青年団が邪魔をするなどして小競り合いをしました。神社の階段がとても急なため、島民はハラハラしながら見守ったものです。

“島の細い道を瀛津島神社へ
上がる子供達”


 “神社の境内を回る子供達”


 “広場へと向かう子供達”
 広場へ到着すると、いよいよ五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて、左義長に火が入れられます。その火を囲み、火が消えるまで島民の談笑が続きます。


“火を起こし左義長に火を入れます”
 
 “勢いよく燃え上がる左義長”
 獅子舞 

 島の年中行事の一つで、島の男子は、元服を済ませた翌年18才になると“獅子舞若連中”といい、伊勢大神楽講社の一行を迎えて、島中一軒一軒の“カマド払い”をします。
 この獅子舞は、鎮火守護の祈りの行事として古くから伝えられ、毎年2月から3月に行われます。午前中は各家庭を回ってお払いをしていただき、午後からは広場で獅子舞、余興が行われます。
 その見物に欠かせないのが“サト豆”というあられを砂糖で固めたお菓子です。「獅子舞の豆を食わんと良い日が来ん(春らしい日が来ない)」といわれ、今でも続く行事です。
 現在では、獅子舞若連中ではなく、決められた人が一行の送迎を行っています。

  
冬の味覚

 沖島の冬の味覚といえば、“わかさぎ”です。漁は8月下旬ころから始まりますが、冬の時期には、10〜15pほどの大きさに成長した子持ちのわかさぎが獲れます。
“わかさぎ”は骨が柔らかい湖魚で、天ぷら、南蛮漬けなどの料理に適し、また、この時期のものは子持ちなので“一夜干し”も大変美味です。
 また、この寒い時期を利用して、“お漬物”、“かきもち”などの保存食を作ります。お漬物作りは、ほとんどの家庭で行われているお正月前の年中行事のようなもので、自前の畑で採れた野菜を使って漬けます。
 ここでは、“わかさぎの一夜干し”“かきもち”、また年中食べられていますが、おせち料理の一品としても作られる“えび豆”をご紹介いたします。
◇ わかさぎの一夜干し
 
“わかさぎの一夜干し”は、塩水(水の量に対し1%の塩)にお酒を適量入れ、洗ったわかさぎを、そのまま3時間程度漬け、漬けたものを一晩、軒下等に陰干しにして作ります。
 一夜干しのわかさぎは、火が通る程度まで焼いて頂きます。海の干物とは、ひと味違う格別な味わいです。
 “わかさぎの一夜干し”は、なんといっても、わかさぎの鮮度が命です。獲れたての“わかさぎ”が手に入る沖島ならではの逸品です。

         《わかさぎの一夜干し》
◇ えび豆

  “えび豆”は、スジエビの代表的な料理で、日常的に作られますが、「腰が曲がるまでマメに暮らせますように・・・」と、おめでたい時やおせち料理のひと品としても、よく作られています。
 味・作り方は、各家庭で少しずつ違いがありますが、味は甘辛く、エビ豆の作り方の特徴として、大豆は柔らかく茹でたものを加え、エビがあまり硬くならないように短時間で炊き上げます。 

  ※ “えび豆”は通販でお買い求めいただけます。
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◇ かきもち

 “かきもち”は、昔から沖島の家庭で作られている保存食のひとつです。
 お餅をつくときに海苔、黒砂糖など入れて味付けし、切れる程度に四角く固めた餅を薄く(2〜3o程度)切り、藁で編んで吊るして、3ヶ月くらい部屋の中で干します。“かきもち編み”といわれ、どの家庭でも見られた光景です。
 作り方が餅つき機を使ったり、味付けをエビマヨ味(干しえびとマヨネーズ)にしたりと、昔とは少し変わりましたが、今でも多くの家庭で作られています。

《参考文献》
・ 「沖島物語」 西居正吉 著


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