“春の沖島”
 令和2年度版

 厳しい冬が過ぎ、小アユ漁やフナ漁が始まると、
“沖島の春”到来です。
 沖島の春は、島の所どころに桜が咲き、山では“蕨”“筍”“よもぎ”などの山菜も採れたり・・・とのんびりとした懐かしい春の風景に出逢えます。
令和2年・春の話題

 沖島も暖かな春を迎えています。この冬は雪らしい雪が降ることもなく、2月の時点から暖かい日があったり、寒暖差が激しいものの、厳しい冬の寒さを実感する間もなく春を迎えたという印象です。
 全国的に桜の開花が早かったように沖島でも例年より早く3月下旬から咲き始め、4月7日頃には満開を迎えました。沖島でも新型コロナウイルスの影響により不安な日々を過ごしておりますが、桜は島民の不安に寄り添い励ますかのように例年以上の見事な満開風景となり、「山桜」と「ソメイヨシノ」が同じ頃に見ごろとなるなどの珍しい共演もみられました。まさに“桜色の沖島”となり島民を和ませてくれました。
 現在、沖島では新型コロナウイルスの影響により、“来島の自粛”をお願いしております。そのような中、沖島の春の様子をお届けし、沖島の春を感じていただければ幸いです。

 春の漁 始まりましたが、ここでも…

“鮎山椒入り若煮”
 今年も例年通り、春の漁が始まり、現在はニゴロブナ、ホンモロコ、スゴモロコ漁から“小アユの刺し網漁”が主体となってきております。しかしながら、琵琶湖の漁にも新型コロナウイルスの影響による湖魚関連全般の流通(売れ行きなど)に問題が出てきており、先行きが心配されています。
 今年も“ニゴロブナ漁”はサイズなど魚の状態は良好なものの、ここ2、3年に引き続く不漁となっています。この状況は、魚が網にかからないのではなく、魚自体が少ないのではないか…といわれています。というのも、「冬の沖島」の話題としてもご紹介いたしましたが、琵琶湖の湖底は昨年の「全層循環」が起こらなかったことにより、以前より湖底のヘドロ層が厚くなっています。ニゴロブナはその生態から常に湖底に身を寄せる性質を持つため、ヘドロの悪影響を受けている可能性が大きく生育にも影響を受けているのではないかと思われるからです。昨年も不漁により“塩切り鮒”の確保に苦慮いたしましたが、今年も少ないなりになんとか確保できた状況です。しかしながら、今年は例年以上の「塩切り鮒の予約販売」のご注文をいただいており、全てのご要望にお応えできるかは確約できない状況のため、今年も“仮予約”という形で対応させていただいております。また、「鮒ずし手作り講習会」においては、新型コロナウイルスの影響により昨年より縮小した形での開催を検討させていただいているところです。


“本もろこ南蛮酢漬け”
 その他、“ホンモロコ漁”、“スゴモロコ漁”は好調でよく獲れていましたが、売れない状況が続いており漁を制限せざるを得ない状況でした。現在は“小アユの刺し網漁”へシフトしてきており、その水揚げは例年並みとなっています。また、“スジエビ漁”も好調です。
 このように春の漁の様子をご紹介してまいりましたが、この春の漁を総評すると「獲れないから売れない、獲れても売れないから獲らない…漁師にとっては狙う魚がない状況」と言えます。以前から感じていることですが「漁業を続けていく上で、資源(湖魚)を増やすことも大切だが需要を高めていくことも肝要だ」ということを改めて強く感じます。しかしながら、沖島の漁業は漁業者の高齢化が進んで多難なうえ、今年は新型コロナウイルスの影響で湖魚関連の流通にも問題が出てきており、先行き前途多難といわざる終えません。そのため、より一層、“琵琶湖の恵み”の魅力を多くの方に知っていただけるような情報発信など、漁協として出来ることに努め、なんとか解決策を見出せるよう取り組んで参りたいと思います。

“えび豆”

※ “鮎山椒入り若煮”など「湖魚料理」を沖島漁協婦人部“湖島婦貴の会”が手作りして販売しております。現在、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により漁協会館前の「湖島婦貴の会の屋台」は休業させていただいておりますが、通信販売は通常通り行っております。
 緊急事態宣言発令中、ご自宅でお気軽に湖魚の佃煮など“沖島家庭の味”を楽しんでいただきたく、通販ご注文代金より消費税分を値引きさせていただいております。ぜひ、ご利用くださいませ。
 詳しくはこちら・・・通信販売「沖島“家庭の味”宅配便」


 琵琶湖の“全層循環” 今年は・・・
 度々、話題として取り上げております琵琶湖の“全層循環”ですが、新聞報道によりますと今年も琵琶湖の“全層循環”は起きていないと発表されております。これにより、昨年も起こっていないことから2年続けて起きていないことになります。
  この“全層循環”とは上層部の水温が冷やされたことにより上層部の水が下層部に潜り込み、湖全体の水温などがほぼ同じになる現象で一年に一度起きるとされています。起きたかどうかの判断基準は琵琶湖の酸素量で定義されており、今年は若干少ないため、「起きていない」との見解になったようです。
 しかしながら、長年スジエビ漁を生業としている漁師の見解としては、「全層循環に近い状況が起きたのではないか…」と思います。というのも…スジエビ漁をする漁師は、その漁の方法から常に湖底の状況を注意深くみてきておりますが、現在の湖底の状況は以前よりヘドロ層が圧縮(薄く)されており、これは“全層循環が”起きたときにも見られる現象で、昨年の様子から見ても明らかな違いがあるからです。
 このように、琵琶湖の環境の変化を把握することは一筋縄ではいかないものです。そのため、琵琶湖の環境の変化を少しでも多く把握できるよう多方面から注意深く見守っていくことが大切なのではないでしょうか。これからも琵琶湖に暮らすものとして心がけていきたいと思います。


 “後継者不足”に明るい話題♪
 年々、漁業者の高齢化が問題となる中、明るい話題をお届けします。
「冬の沖島」のページで“嬉しい出来事です♪”としてご紹介した続編です。
 沖島に移住されてきた青年が“沖島の漁業に興味がある”ということで、漁協組合長のもと、短期研修を受けられ、その後、国が行う研修制度に参加し頑張ってみえます。この制度は、研修後、漁業就業者となり組合に所属することを条件とし、3年間、給与をもらいながら漁業研修を受講するものです。3年間という長期研修になりますが、晴れて漁師となり沖島漁協の組合員として活躍していただけることを願い、出来る限りの支援していきたいと思います。また、これからもこのような明るい話題が続くよう、漁協として『後継者育成事業』にも力を入れていきたいと思います。


 沖島が桜色に染まりました♪

“新名所『RYUBOKU HU』Tと桜”
 今年も桜の開花とともに沖島が桜色に染まりました♪
 全国的に桜の開花が早かったように、沖島でも例年より早く3月下旬から咲き始め、4月7日頃には満開を迎えました。14日には12mを超える花散らしの強風が吹いたにも関わらず咲き残った花が多く、中旬(15日頃)になっても半分くらいが咲き残っており、花がすっかり散ってしまった木はなかったように思います。また、今年は葉が出てくるのも遅く2週間近くに渡って、まさに“桜色の沖島”となりました。

“山桜(写真奥)とソメイヨシノの共演”
 また、今年はとても珍しいことに「山桜」と「ソメイヨシノ」が同じ頃に見ごろを迎え、思わぬ共演となるなど、新型コロナウイルスの影響により不安な日々を過ごしている島民を励ますかのように、見事な満開風景で島民を和ませてくれました。

“漁協会館横の桜も満開です”
 今年は、毎年恒例となりました『沖島 桜まつり』を新型コロナウイルスの影響により中止させていただきましたが、沖島の桜は今年も変わらず例年以上の見事な咲きっぷりを見せてくれました。来島自粛をお願いしていることから、みなさまにお花見を楽しんでいただくことは叶いませんでしたが、来年は、沖島の桜と一緒に沖島の郷土料理で皆様をおもてなしさせていただけることを楽しみにしております。
※ 今年の桜の様子は「イベント情報−桜アルバム」で、
 ご覧いただけます。

 沖島遊覧船“もんてクルーズ”・・・再開せず中止を検討
  毎年、暖かな春の訪れとともに始動する『沖島遊覧船“もんてクルーズ”』ですが、新型コロナウイルスの影響により今年の始動は見合わせており、このまま始動を中止する方向で検討しております。決定次第、ホームページでもお知らせ致しますので、何卒、ご了承くださいませ。
★ 『沖島遊覧船“もんてクルーズ”』とは・・・
 沖島遊覧船“もんてクルーズ”は「離島振興法」に基づき発足した「沖島町離島振興推進協議会」が中心となって運営するもので、漁協もその一員として参画し運航に協力しております。島民ガイドから沖島の歴史などを聞きながら“一周40分の小旅行”をお楽しみいただけます。詳しくは
「イベント情報」のページをご覧くださいませ。

〜〜春の風物詩〜〜〜〜〜 ここからは例年の“春の沖島”の様子をご紹介しております
小アユ漁
 小アユ漁は、“細目小糸漁”とよばれる刺し網漁で4月ごろから盛んになります。沖島では、刺し網にかかった魚を独特の方法ではずします。漁船に高く組まれた足場に網を掛け、その網を振るって魚をはずすのです。他で見られることもありますが、この方法は沖島発祥の方法です。そのため、この漁が始まる頃になると、漁船に高い足場が組まれはじめ、まさに沖島の春到来を告げる風景といえます
 また6月の決められた期間ですが、今はあまり行われない“沖すくい網漁”も行われます。沖すくい網漁とは漁船の舳先にとりつけた大きな網で、アユの群れごと、すくい取る漁法です。熟練を要する漁法です。
塩切り鮒の仕込み

 “塩切り鮒”とは「ふなずし」の材料となるもので、春に獲った琵琶湖産の天然“ニゴロブナ”を丁寧にウロコと内臓を取り、3ヵ月程度塩漬けにしたものです。このころの鮒は卵を抱えており、「ふなずし」の中でも特に美味とされています。
 毎年、春が来ると、“塩切り鮒”の仕込み作業が始まります。水揚げされたばかりのニゴロブナを傷つけないように仕込むのは、とても手間のかかる作業ですが、美味しい「ふなずし」を作るには、手の抜けない重要な工程のひとつです。

  “内臓部分は、卵を傷つけないように、えらのところから取り出します。”

 
 
“塩切り鮒”の予約販売を行っています。
 詳しくは、こちらの
“ここをクリック””を
ご覧ください
 
沖島の桜
 沖島の桜の開花は、少し遅めで毎年4月に入ってから咲き始めますが、今年は全国的には桜の開花が早かったように沖島でも3月下旬頃から咲き始め、4月7日頃に満開を迎えました。(撮影日:R2年4月4〜8日)
 島では、あちらこちらで桜が楽しめますが・・・特に西福寺を抜けて島の西側の桜並木は見事です。またケンケン山の登山道にある“お花見広場”では、お花見をしながら比良山系・比叡山を望む景色が楽しめます。
沖島春祭り

 沖島では毎年5月に“春まつり”が行われます。昔から島民が集う行事のひとつで春まつりの頃になると、島から離れて暮らす家族がみな集まり、お正月さながらの賑わいになります。
 お祭りは、前日の夜の“宵宮うつし”から始まり、島の神様“瀛津島神社”の本殿にお祭りするため、神輿倉からお神輿と太鼓を持って上がります。 次の日の祭り当日、14時頃からお神輿を担いでお宮さんから下がり、町内をねり歩き、神輿倉へと向かいます。昔は、天気が良いとお神輿を船に乗せ休暇村まで往復しましたが、最近は安全に配慮して行われなくなりました。
 こうして、16時頃には神輿倉に収め、公園では“なおらい”が始まります。
 昔から春のお祭りになると“ゆぐみだんご”を作ったり、沖島で採れた山菜、筍を使って“煮しめ”を作ったりして家族みんなでいただきます。“ゆぐみだんご”とは、餡の入ったよもぎだんごのことで、沖島の昔ながらの呼び名です。
 また、最近は祭りの次の日に子ども会の呼びかけで、“ケンケン山”へ登り、昼食会をする催しも始まりました。
 このように、昔とは少しずつ様変わりしながらも、沖島の大事な行事のひとつとして受け継いで行きたいと思います。

〜〜春の味覚〜〜〜〜〜
“小アユ”
 琵琶湖のアユは、春に琵琶湖から川をのぼって大きくなるアユと、琵琶湖で生活して大きくならないアユがいます。大半はこの大きくならないアユで、小アユと呼ばれ、春に漁の最盛期を迎えます。
 小アユは、佃煮として食されるのが一般的ですが、島では、天ぷら、唐揚げ、南蛮漬けなどにしても頂きます。小ぶりなので骨が柔らかいのは元より、アユ独特の風味もしっかり味わえる逸品です。
※小アユの佃煮(若煮)は漁協会館前の「湖島婦貴の会」屋台または通販でお買い求めいただけます。
“鮎山椒入り若煮”
“山菜・たけのこ”   
 沖島では、“山菜”は4月から、“たけのこ”は5月頃から出始めます。
 「煮物」にして頂くのが一般的で、山菜に小芋・ニシン(または油揚げ、棒だら)・たけのこ・ふき・赤こんにゃくなど5品くらいを一緒に炊いて頂きます。
“蕨(わらび)”
“よもぎだんご”
 沖島に自生している“よもぎ”を摘んで作ります。中は餡子の丸いおだんごです。また、“さとだんご”と言われるもち粉によもぎと黒砂糖を入れて練ったおだんごも春の沖島の味です
《参考文献》
・ 「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合


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